世界が注目した会見だったが、十分な調査とは言い難い内容だった(東大・光石衛副学長=右=ら)(C)時事

 

【筆者:榎木英介・近畿大学医学部附属病院臨床研究センター講師、経歴詳細は本文末尾に】

 2017年8月1日、東京大学は匿名の告発により研究不正があることが疑われた論文22報の調査結果を公開した。

記者会見「22報論文の研究不正の申立てに関する調査報告」の実施について

 それによれば、分子細胞学研究所の研究者2名の論文5報(16図)に捏造、改ざんが認められた一方、医学部の教授5名がかかわった論文には研究不正がなかったという。

 東大のウェブサイトでは、研究不正が認定された分子細胞学研究所の渡辺嘉典教授らの論文がどうして捏造、改ざんにあたるのかが説明されている。画像のコントラストを上げて、電気泳動のバンドを消したり、あるいは本来差がない研究結果を差があるように見せかけていた。

 渡辺教授はこれらの行為が不適切であったことは認めているが、研究不正にはあたらないと反論している

東大教授の論文、大学が不正と認定 本人が反論「国際基準では不正にあたらぬ」

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