トランプ大統領は「北朝鮮攻撃」に「正当性」を見出せるか (C)AFP=時事

 

 極論と思われるかもしれないが、あり得ぬことではないだけに、警鐘の意味も込めて敢えて記したい。

 北朝鮮最高指導者金正恩(キム・ジョンウン)は、弾道ミサイルの発射目標をグアムに設定したと公言し、対米挑発をエスカレートさせている。8月29日早朝には、わが国の北海道上空を通過し、北太平洋上に落下するミサイルも発射した。こうした状況下、米国は、座して自国への「ミサイル発射」を待つわけがなく、軍事力を行使して北朝鮮を叩く機もうかがっているはずだ。そのために米国は、中国、ロシアが反対しても軍事力を行使できる正当性の確保に腐心していると思われる。対話の姿勢は軍事力の担保を得てこそ強みを増す。

 北朝鮮制裁強化が国連安全保障理事会で決議(2017年8月5日)されても、当事国が「われ関せず」を決め込んでいる限り解決は期待できない。むしろ軍事的な「敵対意識」が高まり、米太平洋軍や韓国軍は、情報収集及び警戒態勢を高いレベルに上げているだろう。2000年6月、金大中(キム・デジュン)韓国大統領(当時)の北朝鮮訪問時、「韓国軍の水原航空団所属戦闘機は、全機がミサイルと機銃弾を搭載し、いつでも実弾を発射できる状態で飛行訓練していた」と、韓国にいた筆者は韓国軍関係者より側聞している。現在進行中の米韓合同軍事演習(2017年8月21日~31日)においても、即応態勢を布(し)いているに違いない。

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