8月28日から29日にかけてレバノンで、レバノン東部からシリアのダマスカス北東方面に連なるカラムーン山地に勢力を持っていた「イスラーム国」や「シャーム解放機構」を、シリア東部のデリゾール(「イスラーム国」の占拠地域)や、シリア北部のイドリブ(「シャーム解放機構」の勢力範囲)に移送する手続きが進められた。

これは「イスラーム国」などのレバノン東部(特に有名なのはアルサール;Arsal)のシリア国境地帯に勢力を保ってきたシリアの民兵諸派が、ヒズブッラーとシリア政府との間で結んだ合意に基づいている。

レバノンからいえば、国内でかろうじて保たれている宗派バランスを揺るがすシリアから越境してくる諸勢力を「厄介払い」できた形である。レバノン内部での、シリアを後ろ盾にしたシーア派政治民兵組織ヒズブッラーと、ハリーリー首相らスンナ派主体の親欧米勢力との妥協の産物でもある。
 "Islamic State leaves Syria-Lebanon border zone," Reuters, August 28, 2017. 

"Islamic State convoy reaches east Syria after ceasefire: Hezbollah-run media," Reuters, August 29, 2017.

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。