自らの汚職疑惑を追及するジャーナリストを「監視ソフト」で追いつめようとしたペニャ・ニエト大統領(C)AFP=時事

 

 メキシコの著名な女性ジャーナリスト、カルメン・アリステギが、エンリケ・ペニャ・ニエト大統領にとって大打撃となる汚職疑惑をスクープしたのは2014年のこと。

 すると翌年1月から、アリステギの携帯電話などに様々な怪しいテキストメッセージが届くようになった。たとえば、在メキシコ米大使館からは、ビザに問題が見つかったためにリンク先の詳細をチェックしてほしい、というテキストメッセージが届いた。また別の日には、「前のメッセージが送信できませんでした」というメッセージが来たり、行方不明の子供を探してほしいというメール、アリステギの誘拐計画があると知らせるメールなど、いろいろなメッセージが送られてきた。

 百戦錬磨のジャーナリストであるアリステギは、それらのメッセージを怪しいものと判断して無視した。だがすべてを放置していると、挙句には彼女の16歳(当時)の息子にまでおかしなテキストメールが届くようになったという。さらに彼女の運営するウェブサイトも、繰り返しハッキング被害にあった。

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