サウジ皇太子がイスラエル訪問か?

執筆者:池内恵2017年9月11日

サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子が9月初旬に、極秘にイスラエルを訪問したという噂がある。

"Did the Saudi Crown Prince Make a Covert Visit to Israel," Jerusalem Post, September 11, 2017.

イスラエル・ラジオがサウジの匿名の高官あるいは王子の訪問を伝えると、それにアラブ・メディアも飛びつき、訪問したのはムハンマド皇太子に違いないと断定し、ネット上でも波紋が広がっている

イスラエル政府は確認を拒否しており、サウジ政府も認めないので、事実かどうかは分からない。

アラブ諸国は、エジプトとヨルダンを除けば、イスラエルと国交がなく、その存在を承認していない。あたかもイスラエルが存在しないかのように表向きは振る舞う。

しかしサウジとイスラエルは対イランで戦略的利害が一致しており、実質上の協調関係を築いているという見方が根深くある。

問題はこれをいつ公式なものとするかである。ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子であればやりかねない、と思うサウジ・ウォッチャーも多いだろう。今回の報道は、そういった専門家の先入観を反映した飛ばし記事なのかもしれない。

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