昨年10月、自衛隊観閲式に臨む安倍首相 (C)時事

 

 本連載も31回目となり、これをもって終わることとなった。この段階になって反省するところも多いのだが、何はともあれ拙文を読んで頂いたことに感謝致しつつ、ここに本連載の「まとめ」を記したい。

「国家間決戦」は消滅した

 毎年8月になると、テレビ・新聞は「あの戦争を2度と繰り返すな」という話で盛り上がる。「あの戦争」とは、1945年に終了した日本と連合国との戦争のことだが、筆者は、その戦争が再び生起することなどあり得ないと考えている。

 ナポレオン戦争以降「あの戦争」が終わるまでの約150年間は、クラウゼウィッツの言う「絶対的戦争」の時代であり、そこでは多く敵国の首都まで進撃し、敵国土を我が物にするか、賠償をとり2度と刃向わないと約束させる方法で戦争を終結させた。それを「国家間決戦」と言うのだが、第2次世界大戦終結以降、その「国家間決戦」は世界から消えてしまった。

 その消滅は、「核兵器」と「超大国」の出現によってもたらされた。「核兵器」を2国以上が持つと、そのうちの2国同士は「共倒れ」になるため「国家間決戦」ができなくなった。

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