パレスチナのガザを支配してきたイスラーム主義のハマースが、ヨルダン川西岸のラーマッラーを拠点としたパレスチナ自治政府を掌握するPLO主流派ファタハへの接近を進めている。10月2日、ファタハとハマースの統一政府の首相としてファタハのラーミー・ハムダッラーがガザ地区を訪問した。10年ぶりのファタハ・ハマース統一政府が成り立つか、注目される。

2007年7月以来、ファタハの勢力がハマースによってガザから放逐されてきたが、UAEやサウジやエジプトによるハマースの一部の懐柔策や、それらの国及びイスラエルとも息を合わせたファタハのアッバース大統領によるガザ・ハマースの締め付け策が合わさって、ハマースのファタハ接近が進んでいるようだ。

"Palestinian prime minister visits Gaza in reconciliation move with Hamas," Reuters, October 2, 2017.

ハマースは2006年1月の選挙でガザで圧勝し、2007年6月から7月にかけてのファタハとの全面衝突で優位に立ち、ガザを実効支配してきた。今後もハマースは実態としてはガザでの優位性を保つだろうが、イスラエルとエジプトとファタハが一致して強化する禁輸・金融制裁に耐え兼ね、UAEやサウジが差し出した支援の手を掴む姿勢を見せ始めた。UAEとサウジは、ハマースへのカタールとイランの資金援助を断ち、ファタハとの和解と引き換えに新たな「パトロン」となることを水面下で約することで、ハマースをカタール陣営から引き剥がそうとしている。

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