ローン・ウルフ型テロの続発

執筆者:池内恵2017年10月3日

過去半月の間に、世界各地で、「ローン・ウルフ型」のテロが続発している。ラスベガスの事件がどのように他のものと関連するか分からないが、とりあえず一覧で基礎事実をまとめておこう。

9月15日 英国・ロンドンの地下鉄ディストリクト・ライン(District Line)の列車内に置かれた爆発物がパーソンズ・グリーン駅(Parsons Green tube station)付近で爆発、30名が負傷。過酸化アセトン(TATP: Triacetone Triperoxide Explosive)を用いた手口が「イスラーム国」のフランス・パリやベルギー・ブリュッセル、あるいはシリアやイラクでの犯行と類似しているとされる。9月25日までに7名が事件に関係して逮捕されたが、そのうち6名は起訴されずに釈放されている。事件の翌日ドーバー港で逮捕され、単独犯として起訴されたのは、イラク出身の18歳の難民申請者アハマド・ハッサン(Ahmed Hassan)である。容疑者の関係先が幅広く捜索され、難民の身元引受けを行ってきた老夫妻の住居も捜索対象に。「イスラーム国」系のアゥマーク通信犯行声明を出す

9月30日 カナダ・アルバータ州エドモントンで自動車で警官の轢殺を試みたのちナイフで襲撃し負傷させ、その後歩行者の列に突入してナイフで襲撃し4名を負傷させたソマリア生まれの30歳の難民でエドモントン在住のアブドッラーヒ・シャリーフ(Abdulahi Sharif)が逮捕された。

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