労組による「反労働法典改正デモ」は不発に終わった (C)AFP=時事

 

 マクロン政権のネオ・リベラリズムによる財政削減と規制緩和は成功するであろうか。筆者はもともと、その成否は景気回復にかかっていると述べてきた。

 エマニュエル・マクロン大統領は、オランド政権の経済相時代の2015年に、「成長・事業・経済機会均等法」(通称マクロン法)を可決させた。同法は長距離バスの路線自由化と、日曜営業規制の緩和(年に12日営業可能、観光地などでは深夜まで可能)を実現し、マクロンは一躍「規制緩和」の旗頭となった。少々調子に乗りすぎて、長距離バス路線自由化を自画自賛して「これで貧乏人も旅行ができる」と発言して物議を醸した。

 また、「若い人たちには『もっと豊かになりたい』と思ってほしい」と述べたが、「もっと働き、もっと稼ぎましょう」というスローガンを掲げたサルコジ元大統領と同様のマインドの持ち主でもある。

 つまり、財政緊縮・増減税バランスと投資活発化による経済成長の結果として、税収増と財政均衡を図ることがその経済政策の要諦だ。

 マクロンの選挙公約であるネオ・リベラリズム経済政策が最大のターゲットにしたのが、労働市場の自由化だった。フランスは、ヨーロッパでももっとも手厚い社会保障の国の1つである。そのため企業側の社会保障負担が大きく、解雇の規制が厳しいため、労働市場は硬直したままだ。サルコジ政権は労働市場の柔軟化のために大ナタを振るおうとしたが、リーマンショックの煽りを受けて挫折。社会党保守派のオランド政権はネオ・リベラリズム政策を目指したが、腰砕けに終わった。オランド政権の衣鉢を継ぎ、それをもっと急進化したのがマクロンの諸政策だ。

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