ロシア政府の「情報化社会発展戦略」改定を報じた『ヴェドモスチ』の記事(同紙HPより)

 

 グローバル・インターネットの分断という流れは、それを支える物理インフラの面でも進んで行くかもしれない。そのような未来図を予感させる動きが、昨今、ロシアで見られるようになってきた。

 最初の兆候は、2016年5月に国家プログラム「情報化社会発展戦略」が改定されたことである。

 同プログラムはその名の通り、ロシアにおけるインターネット利用の推進を目的として策定されたものであり、特にロシア政府の「電子政府化」に重点が置かれていた。2010年にはロシア国民の中でオンライン公共サービスを利用できていたのは11%に過ぎなかったが、同プログラムが完了する2020年にはこの割合を85%まで向上させる、などとしている。予算総額は10年間で約1兆2000億ルーブル(約2兆4000億円)となる計画であった。

 ところが同プログラムを主管するロシア通信省(ミンコムスビャージ)は、改定と同時に、次の2点をプログラムの達成目標に追加した。その第1は、ロシアのインターネット通信の99%をロシア国内のサーバー経由で行うとの目標を、2020年を達成期限として掲げたことである。なお、2014年時点ではこの割合は約7割であったとされる。

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