10月5日のサウジのサルマーン国王のロシア・モスクワ訪問とプーチン大統領との会談で、もっとも耳目を集めたのはロシア製対空ミサイル・システムのS-400の購入に関する覚書が結ばれたことだろう。この案件はすでに今年4月に表面化していたが、首脳会談で改めて合意したことにより、政治的なインパクトが増した。

"Saudi Arabia agrees to buy Russian S-400 air defense system: Arabiya TV," Reuters, October 5, 2017.

その翌日には米国は対空ミサイル・システムTHAADのサウジへの売却を発表しており、サウジが最終的にどちらを購入して配備するかはまだ分からないが、S-400購入の覚書の発表は、米の中東における主要な同盟国であるサウジの米国離れとロシア接近を印象づけた。

NATO加盟国であるトルコも今年4月にS-400の導入に向けた交渉の進展を発表しており、最近も、トルコが技術移転の条件さえ満たされれば導入に踏み切ると発言し、ロシアも進展していると応じエルドアン大統領が導入への障害はないと述べるなど、頻繁に情報発信が行われている。 これに対して最近NATOは平静を装うコメントを出しているが、対応に苦慮していることは明らかである。

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