10月19日、平壌の靴工場を視察する金正恩党委員長。これも「自立経済」のひとつだ (C)AFP=時事

 

 北朝鮮はなぜ、通常は10月には開催しない労働党中央委員会総会を開き、大幅な世代交代を含む新体制を組んだのであろうか。そこには、現在の「つくり出された情勢」への北朝鮮の危機感が反映されている。党中央委総会の開催は、国際社会との対立の深まりや国際社会の経済制裁への強化に対する危機意識の反映であり、それへの対応策なのである。

 北朝鮮は朝鮮戦争(1950~53年)以降、ずっと経済制裁下にあった国だ。国際的な経済制裁の裏側で、様々な抜け穴や密貿易などのノウハウとネットワークを持っており、ある種の制裁への「耐性」を持った国家だ。さらに、閉鎖的な体制を長年続けてきたために、経済全体に対する貿易などの対外関係が占める割合は、普通の国よりも低い。

制裁強化に危機意識

 そんな北朝鮮でも、最近の国連安全保障理事会の経済制裁決議は、時間が経てば深刻な影響が出ると思われる。特に8月5日に採択された国連安保理決議第2371号は、北朝鮮の主な輸出品目である石炭、鉄・鉄鉱石、鉛・鉛鉱石、海産物の輸出を禁じた。これで年間約10億ドルの外貨収入を失うだろう。

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