EU諸国も巻き込んだカタルーニャ「異常事態」

執筆者:大野ゆり子2017年11月7日
テレビに映る8月17日のテロ直後に協力しあったラホイ・スペイン首相(右)と、プチデモン・カタルーニャ州前首相。反目した今となっては幻のようだ (筆者提供、以下同)

 

 カルレス・プチデモン・カタルーニャ前州首相のベルギーでの逮捕、保釈の報は、ふたたび欧州メディアの第1面を飾り、「カタルーニャ危機」がヨーロッパに投じた余波は当分収まりそうにない。元来、どういう行動に出るか側近にも予測不能といわれるプチデモン氏は、独立を支持した有権者を置いて卑怯にも逃げ出したのか。それとも何か狙いを持っているのか。いろいろな憶測が飛び交う中、1つだけ確実に成功したことは、「カタルーニャ問題はスペインの内政問題」という態度を続けてきたEU(欧州連合)諸国を、EUの中心ベルギー・ブリュッセルから無理やりに「傍聴席」に引きずり込んだことである。

 この2カ月、カタルーニャというスペイン北東部で起きた独立問題は、同じように国内で独立を目指している地方を持つEU諸国にとっては、喉にささった小骨のような面倒なもので、傷が大きくならないうちに、はやくスペインに取り除いて欲しいと願っていただろう。フランスはコルシカを抱え、イタリアはロンバルディア、ベネト地方の問題があり、そしてベルギーは何より、フランダース地方(オランダ語圏)の独立問題を抱えている。これについては後日改めてお伝えする。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。