今年5月のイスラエル訪問時、現職大統領として初めて、ユダヤ教徒にとって神聖な「嘆きの壁」を訪れたトランプ大統領 (C)AFP=時事

 

 米トランプ大統領が、イスラエルの首都をエルサレムと認める演説を12月6日(日本時間7日未明)に行う予定である。イスラエルが「不可分で永久の首都」と主張するエルサレムは、パレスチナ側も東エルサレムを将来の独立国家の首都とすると主張してきており、現在のイスラエル・パレスチナ和平の交渉の基本枠組みである「二国家解決」が成り立つかどうかを分ける、重要な争点である。ここで米国がエルサレム首都承認を行えば、交渉の結果をあらかじめイスラエル側の要求を全面的に認める形で先取りしてしまうため、交渉を行うことがパレスチナ側にとってはかなり困難になる。

 トランプ大統領が6日にエルサレム首都承認を宣言することはほぼ確実だが、これに伴い在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移すかどうかが次の焦点となる。12月初頭にこの問題が再び浮上した当初は、首都は承認するが、大使館移転については、議会から課されている延期の署名を再び行って決定を先延ばしするという論評もあった。しかし法律的には決定を先延ばしした場合も、今回の演説で大使館移転についてすでに実行を決断していると宣言するか、あるいは具体的な計画を示すか、具体的な計画作成を命令したと宣言するかのいずれかは行うだろう、という観測が高まっている。そうなると、エルサレムのどこへ、どのように、いつ大使館を移すかが、次の具体的な検討事項となりそうだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。