バングラデシュから始める「未来の医療」

執筆者:森田知宏2017年12月8日
ロヒンギャ難民も流入し、バングラデシュではますます医療の拡充が求められる(C)AFP=時事

 

【筆者:森田知宏相馬中央病院内科医

 私は、途上国での医療サービスを手掛ける「株式会社miup(ミュープ、代表取締役・酒匂真理)」のメンバーとして、南アジアのバングラデシュでの医療サービスを立ち上げる準備をしている。その調査のため、10月に現地へ行った。驚いたのは、ライドシェアサービス「Uber」、ドイツのフード宅配サービス「Foodpanda」など、スマートフォンベースのサービスが普及していたことだ。空港でタクシーを手配せずともUberで呼んだ車に乗って市街までたどり着くことができた。

極度の医師不足

 バングラデシュの医療課題は多い。近年特に悪化しているのが、非感染性疾患の増加だ。例えば糖尿病の罹患率は、2000年から2005年では5%であったが、2006年から2010年にかけて9%へと上昇している(文末の参考文献1、以下同)。私の経験でも、20代前半でも下腹部が出た「メタボ体型」の男性に会うケースは多かった。糖尿病、高血圧、脂質異常症などいわゆる生活習慣病は、心筋梗塞や脳梗塞などの原因となる。実際、肺炎の死亡者はこの10年で60%も減ったのに対して、心筋梗塞は50%以上増加し、現在は死亡原因トップの17%を占める。生活習慣病への対策は急務だ。

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