これで議会運営はますます厳しくなる(C)EPA=時事

 

【ワシントン発】12月12日に投開票が行われたアラバマ州選出上院議員補欠選挙は、ダグ・ジョーンズ民主党候補が共和党候補のロイ・ムーア元アラバマ州最高裁判所長官を僅差で振り切って当選した。同州選出上院議員選挙での民主党候補の勝利は、1992年以来実に四半世紀振りとなった。ムーア氏は軍人票などの集計を見守る必要があるとして敗北宣言を拒否しており、さらに選挙に不正があったとの主張まで展開し、敗北を認めていない。恐らく、圧倒的に共和党の支持が強固な「レッドステート」であるアラバマ州での敗北という現実を受け入れたくないのであろう。

 共和党予備選挙でムーア氏がルーサー・ストレンジ上院議員を破って共和党上院議員候補の指名を獲得した時点では、ムーア氏の上院議員当選は確実と見られていた。だが、そうした見方を大きく揺るがしたのが、ムーア氏が30代当時、14歳など未成年の少女らに性的関係を迫っていた疑惑が11月中旬以降相次いで浮上してからであった。

 ムーア氏は、同性婚に反対するなど社会的争点について極端な立場を示すとともに、奴隷制度があった時代の米国の家族の絆の強固さを称賛したり、アラバマ州最高裁判事を2度も追放されたりと、何かにつけ問題の多い候補であった。そうした中で未成年の少女に性的関係を迫っていたとの疑惑の発覚は致命傷となったが、ムーア氏のような資質に問題のある候補を擁立したこと自体が大きな過ちの始まりであった。それでもムーア氏の得票率は48.4%で、ジョーンズ氏の49.9%に1.5ポイント差まで迫り、得票差はわずか約2万1000票であった。これは、共和党が最初から資質に問題のない候補を擁立していれば、確実に議席を維持できたことを示している。

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