ティラーソン米国務長官「生殺し」の理由

執筆者:渡部恒雄2018年3月14日
結局、トランプ大統領に振り回されっぱなしということか(C)AFP=時事

 

※本記事は昨年12月20日にアップロードしたものですが、今回の解任劇を理解するうえで参考になると思い、筆者のご諒解を得、再度、トップ記事としてアップロードいたします。記事中の日付は当時のままです。

 11月ぐらいから、レックス・ティラーソン国務長官更迭の話が浮上してきているが、なかなか動かない。アジア歴訪前のドナルド・トランプ大統領は、11月2日に放送された『FOXニュース』のインタビューで、大統領の任期中はティラーソン氏を国務長官に留めるつもりかとの質問に対して、「わからない。状況を見守ろう」と応じている。その後、12月になってからもティラーソン更迭の話がワシントンで大きく持ち上がるが、政権側がそれを否定するコメントを出して、現在に至っている。

 一方で、ティラーソン氏が今後、長期にわたって国務長官であり続けることはないだろうということは、あきらかである。焦点は、彼の更迭がいつなのかという点だけである。トランプ大統領もその側近も認めているように、トランプ政権の外交は、国務省や国務長官ではなく、トランプ大統領とホワイトハウスによって行われるべきものである。そもそも国務省は、トランプ大統領が体現する「トランピズム」が嫌悪するエリートでエスタブリッシュメントの巣窟である。これは、かつて日本で外務省バッシングが起こった際にメディアを通じて伝播された「世界中で高いワインを楽しむエリート」への反発のようなものが背後にあるのかもしれない。

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