コードネーム「007」の謎に迫る(下)

執筆者:竹田いさみ2017年12月21日
コードナンバー「007」は女王と密接な関係があった?(2012年のロンドン五輪開会式にボンド役ダニエル・クレイグが女王陛下をエスコートするサプライズのワンシーン)(C)AFP=時事

 

 ドイツは第1次世界大戦中、中立国のスウェーデンを経由して、暗号電報をメキシコに送信したが、イギリス海軍省情報部の暗号解読班「ルーム40」はこれを見逃さずに、ドイツから複数のルートで送信された暗号電報を傍受していた。

 イギリスが、ドイツとの開戦を不可避と判断した直後に大西洋に敷設されたドイツの海底ケーブルを切断したことで、ドイツがイギリスの海底ケーブルを利用せざるを得なくなったことは、すでに前回(上)で述べた

 それによりドイツの暗号は、当然のことながらイギリスにことごとくモニターされ、そして解読されていった。しかもイギリスは、解読したことを相手に悟られないように、さまざまな工夫も行った。イギリスのしたたかな情報戦略には今更ながら舌を巻く。

 こうしてドイツ政府からメキシコ政府に送られた暗号電報の中に、「ツィンメルマン極秘電報」、つまりドイツ外相アルトゥール・ツィンメルマンから1917年1月16日に、駐メキシコのドイツ大使宛の長文の極秘電報、が含まれていた。同電報は、同大使からメキシコ大統領に届けられた。

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