テレビが「見られているかどうか」まで測定できるモーションセンサーカメラ。これで「視聴率」ではなく、「視聴質」データがとれるという (「TVISION INSIGHTS」HPより)

 

 世界の広告市場が激動している。この数年、インターネット広告の影響力が強まり、世界市場では2017年にネット広告がテレビを上回るとの予測もあったが、ここへきて家庭用製品や化粧品などのメーカー「プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)」、「ユニリーバ」といった世界屈指の広告主が、デジタル広告費を大幅に削減し始めた。一方、揺り戻しが期待されるテレビも視聴スタイルが大きく変化しており、広告主は「本当は何が見られているのか分からない」と頭を悩ませている。

「マス広告」に回帰の動き

 ネット広告への信頼が大きく揺らいだきっかけの1つは、2016年の米大統領選への介入を狙い、ロシア当局がフェイスブックやツイッターといったSNS(交流サイト)の広告を悪用した疑いが強まっていることだ。さらに、大雑把な視聴率データしかないテレビに比べ、「誰がいつ見たかを正確に把握できる」のが売り物だったネット広告には「見ているのは人間ではなくボット(インターネット上でそのサイトを見たことにするアプリケーションソフト)かもしれない」という疑いもある。いわば視聴率の捏造と同種だ。

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