沖縄県うるま市の海岸に不時着した米軍ヘリを吊り上げて撤去したのが1月8日。同日、今度は読谷村で不時着が発生した (C)時事

 

 1月6日、8日と相次いで、沖縄県内で米軍ヘリコプターの不時着事故が発生した。昨年末には飛行中のヘリからの部品落下事故も起きており、この1年で米軍機の事故やトラブルは20件以上にも及ぶ。地元ならずとも、米軍とその軍用機、装備などに対する信頼が揺らぎかねない事態である。

 2018年度予算の概算要求では防衛費の伸びが目立ち、額は5兆2551億円と過去最大で、前年度比2.5%増である。とりわけ米国製装備導入の占める割合がこれまでにも増して高い。

 だが輸入装備の増加は、有事における継戦能力に対する危惧を生む。輸出元が日本の防衛戦にとって「味方」であれば、その装備は心強い。しかし輸出元が敵対国あるいは対峙しないまでも中立国で、彼らがもし輸出を控えてしまうと、装備に加えて補用部品の入手が困難になり、日本の戦闘力を大きく低下させることになる。

 たとえば戦闘機の燃料と搭載ミサイルが充分に満たされても、肝心の戦闘機が飛ばなければ、エア・パワーはゼロである。保有機の何割が飛べる状態にあるか、その整備能力を示す数値を「稼働率」と呼ぶが、航空自衛隊(以下「空自」)の稼働率80~90%は、世界的に高水準である。勿論、こうした高稼働率の維持は、整備員の技量によるところが大であるが、今日のように整備を構成ユニットの交換で済ませるようになると、稼働率の高低は補用部品の種類や保有数量に影響される。

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