昨年3月の『アーノルド・パーマー招待』を制したM・リーシュマンと、敗血症と闘った愛妻オードリー、子供たちの物語は世界中で報道された(『GolfDigest.com』より)

 

 1999年に飛行機事故でこの世を去ったペイン・スチュワート(享年42)の物語には、いつも愛妻トレイシーの存在があった。

 スチュワートの死後にトレイシーが著した『Payne Stewart』(日本では『ペイン! 20世紀最後のプロゴルファー』ゴルフダイジェスト社、舩越園子訳)の中で、トレイシーは最愛の夫を「永遠のソウルメイト(心の友)」と呼んでいた。

 試合会場ではニッカボッカーズ姿のスター選手だったが、「素顔は甘えん坊の男の子みたい。そのくせ、言い出したら絶対に引かない頑固者で聞かん坊。でも、そこにはペインの優しさが必ず溢れていることを私は知っていました」とトレイシーは書いていた。

 中でも印象的だったのは、この話。1982年に初優勝、1983年に2勝目を挙げたものの、以後はなかなか勝てず、万年2位だったスチュワートが、ようやく米ツアー3勝目を挙げたのは1987年3月の「ベイヒル・クラシック」。4年ぶりの復活優勝を挙げたわずか2日後、スチュワートはトレイシーにこう言ったのだそうだ。

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