1月28日、イエメンの南部分離派勢力が、南部の中心都市アデンの、ハーディー政権が暫定的に拠点としている政府庁舎を、軍事衝突の末、占領した

政府庁舎を奪われた側のハーディー政権のビン・ダグル首相は、これをクーデタと非難した。

これはイエメン内戦の新たな展開である。首都サヌアを北部のフースィー派の侵攻によって奪われたハーディー政権は、サウジとUAEによる2015年3月以来の軍事介入による支援を受け、辛うじてアデンを奪還して政府を置き、南部の諸勢力と協力して失地回復を図ってきた。

しかしハーディー政権はサウジに保護されて辛うじて露命を繫ぐ籠の鳥のような存在で、主要都市の奪還、首都サヌアの奪還は一向に進まない。フースィー派打倒の地上兵力として期待されてきた諸勢力の間でも、南部分離派の影響が強まり、「南部移行評議会」が結成されていた。

しかも南部分離派にはUAEが支援を深めてきた。ついにここで、サウジに支援されたハーディー政権と、UAEに支援された南部分離派が戦い、サウジに支援されたハーディー政権がUAEに支援された南部分離派による「クーデタ」を非難するという事態に発展してしまった。

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