王岐山「復活」を米中関係から読む

執筆者:村上政俊2018年2月19日
習近平国家主席(左)がどうしても手元に置いておきたい王岐山氏(右)(C)EPA=時事

 

 筆者は、東京財団アメリカ大統領権限分析プロジェクトのメンバーとして、2月初めにワシントンDCを訪れ、米連邦議会や有力シンクタンク関係者との意見交換の機会に恵まれた。現地で強く感じたのは、米中関係の潮目は大きく変わったということだ。

 国際情勢の観測者が拠って立つ基盤を経済と安全保障に大別するならば、私自身はバックグラウンドの影響もあり明らかに後者に属する。勢いDCにおいても共和党や国防総省に関係する人たちと会話を持つ機会が多い。

 彼らの視点に寄り添いながら考えると、昨年12月の「国家安全保障戦略(National Security Strategy)」の発表が明確な転機だったとみて間違いないだろう。ドナルド・トランプ米大統領自身がロシアと中国を競合勢力(rival powers)と名指しした点が特筆に値する。

余人をもって代え難い

 米中関係の変転と時を同じくして中国で浮上したのが、王岐山という名前だ。昨年10月の共産党大会を機に、王は政治局常務委員から外れた。一党員となった王の今後については、完全引退説と残留説が交錯。筆者は後者に立ち(2017年10月30日「『ポスト習近平は習近平』が際立った『中国共産党』新人事」)、3月に開催予定の全国人民代表大会で国家副主席など何らかの役職に就くのではと考えていた。

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