不時着した米軍の攻撃ヘリの前で協議する米軍と日本政府関係者(C)時事

 

 2月5日、陸上自衛隊の戦闘ヘリコプター「AH64D」が佐賀県神埼(かんざき)市の民家に墜落する事故が発生した。陸自は8日、主回転翼の4本の羽根と回転軸をつなぐ「メインローターヘッド」と呼ばれる部品などを現場から回収。つまり、重要な部品が飛行中に脱落した疑いが濃い。揚力と推力が失われたヘリコプターは墜落するしかない。ローター部分は、最大限最強確実に、かつ二重三重に脱落が防止されているものであるから、「あり得ない事故」が発生したと言える。陸自はすでに現場から回収したフライトレコーダー(飛行記録装置)の解析を急ぐことになる。

 それでは何故外れたのか。回転軸が折損してローターが外れ墜落したという推理もできる。しかし、推理は安全を保証しない。安倍晋三首相は陸自に対して即座に「全機点検」を発令したが、それ以前に事故原因の究明がなければ「安全を保証する飛行再開」は困難であり、本事故の再発防止に直結しない。的確な調査結果と安全対策が「飛行する航空機の直下に居住する住民の安心」を作る。その意味で、「形式的な点検と安易な飛行再開」が行われないよう、また、その詳細な結果が「トラブルが多発する在沖縄米軍の鑑」となるよう期待したい。

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