「人手不足」深刻化で増加する「企業倒産」

執筆者:磯山友幸2018年2月27日
飲食業界では、倒産する企業が出るほど人手不足が一段と深刻化している

 

 東京商工リサーチの調査によると、2017年1年間の「全国企業倒産(負債総額1000万円以上)」は8405件と、2016年に比べて41件、率にして0.4%減った。2009年以降、9年連続で前年を下回った。水準としてはバブルピークだった1990年の6468件以来の低水準と言うが、決して好景気によって倒産の減少が続いてきたわけではない。

 だが、そうした倒産減少にも変化の兆しが見え始めてきた。月次ベースでは、昨年後半から増加傾向が強まっているのだ。景気に底入れ感が強まる中で、むしろ倒産が増えつつあるのだ。

 倒産件数の対前年同月比の増減を見ると、2017年9月に4.6%増だったのに続いて10月も7.3%増えた。2カ月連続で増加したのは何と6年3カ月ぶりのことだった。その後、11月と12月は減少となったものの、率は2.3%減、2.0%減とわずかで、直近の2018年1月は再び5.0%の増加に転じた。

 年間の倒産件数を都道府県別に見ると、東京が1712件と前年の1654件から増加、大阪も1229件(前年は1146件)と増えた。また、愛知も522件から524件に増加している。東京、大阪は8年ぶりに増加に転じ、愛知も6年ぶりの増加だった。大都市圏を中心に倒産は間違いなく増え始めている。

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