ラオス「フレンチ料理長」が店名「ナダオ」に秘めた思い
2018年3月6日
旅行したラオスの首都ビエンチャンで秀逸なフランス料理と出会った。聞くと、レストランを経営するラオス人の料理長は、フランスの錚々たるグラン・シェフ(「ルレ・エ・シャトー」が優れた料理人に与える称号)、故アラン・サンドランス、ジョエル・ロブションらの右腕として働いた経歴の持ち主だった。故国に戻って23年、その味を求めて政府高官や各国の大使がやってくる。
貧乏人のスープ
2月半ばの日曜日の昼下がり、メコン川岸近くにあるレストラン「ナダオ」を訪ねた。前夜、2人の知人と食事を楽しんだばかりで、連日の訪問だった。前日、料理長のサヤブー・スタクマルさん(56)に取材を申し込むと、「あす昼食を一緒にしながら話そう」と招いてくれたのだ。
木造平屋の簡素な「ナダオ」は客席十数席と小ぶりだが、料理長の輝かしい足跡を示す写真や賞状が額に入って壁に飾られていた。
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