サウジアラビア資本でUAEドバイを拠点とするアラビア語衛星放送局MBCが、3月2日から、系列チャンネルで、すべてのトルコ・ドラマの放送を停止しているという。

"Saudi broadcaster MBC takes all Turkish TV shows off air," The National, March 4, 2018.

これはサウジ・UAEとトルコ・カタールの間で続く、ムスリム同胞団への支援などをめぐる対立を反映した動きではないかという観測が、広がっている。サウジやUAEの資本の他の放送局も追随する動きが広がると見られている。

かつて日本の「おしん」が、続いて「宮廷女官チャングムの誓い」をはじめとした韓流ドラマが、アジアから中東までを席巻したのに続いて、トルコ・ドラマがアラブ世界を席巻していた。口火を切ったのは2008年にMBCが、2005年ー2007年にトルコでヒットした「Gümüş(銀)」のアラビア語版「Noor(光)」を放送したことだった。トルコ・ドラマはアラブ民族主義によって遠ざけられていたかつての宗主国のトルコの文化をアラブ世界に呼び戻す手掛かりとなった。トルコはドラマをソフト・パワーのツールとし、サウジアラビアなど産油国の資本の衛星放送局はそれを視聴率獲得のためにブームに乗って次々とトルコ・ドラマを放送してきた。

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