医学生が見た震災後3年のネパール

執筆者:医療ガバナンス学会2018年3月9日

丘の上から見たパシュパティナート (筆者撮影、以下同)

 

【筆者:小坂真琴・東京大学教養学部理科3類

 「ある人が死を恐れないと言ったら、彼は嘘をついているかゴルカ兵だ」

 宿泊したホテルのごく近くのミリタリーショップの看板に書かれていた刺激的な文句である。

 ゴルカ兵は、イギリス軍として第2次世界大戦で日本軍と交戦するなどして活躍した戦闘集団だ。フォークランド紛争では、マーガレット・サッチャー英首相(当時)がその強さを見込んでリクルートし、アルゼンチン軍の一部はゴルカ兵の名を聞いて逃げ出したという伝説もある。この「ゴルカ」、ネパールという国にある都市の名前である。

 ネパールというと、エベレスト及びヒマラヤ山脈への入り口として有名である。事実、ビザを申請するときの「目的」として、トレッキングという項目があり、ホテルに配られる新聞の名前は『ヒマラヤン』である。市内にはネパール人女性として初めてエベレスト登頂を果たした人の銅像が立ち、女性初登頂を成し遂げた田部井淳子さんの名前はよく知られているという。

 一方で、ネパールにはブッダ生誕の地があり、仏教、ヒンドゥー教にとっての重要性は非常に高い。今回の訪問の最終日である2月13日は、ヒンドゥー教の中でも人気のあるシヴァ神の大祭の日であり、インドなどから多くの人がパシュパティナートに訪れていた。当日の朝、ホテルのロビーには沢山のヒンドゥー教僧侶が集っていた。

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