2016年4月に経済改革プラン「Saudi Vision 2030」を発表した副皇太子時代のムハンマド皇太子(C)AFP=時事

 

 サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子は、皇太子就任後初めての外国訪問としてエジプト・英国を往訪し、3月10日(土)に帰国した。

 英国ではエリザベス女王との昼食、チャールズ皇太子およびウィリアム王子との夕食、テリーザ・メイ首相との夕食など、手厚いもてなしを受けた。

 サウジ側には、昨年11月初めに腐敗容疑で200人に上る王族、官僚、ビジネス界のリーダーたちを拘束したことで失われた「投資先としての信頼性」を回復する狙いがあった。英国としては、EU離脱を睨み、金融中心地としての「シティ」の地位保持のためにも、サウジの世界最大国営石油会社「サウジアラムコ」(以下「アラムコ」)株の5%という「史上最大のIPO(新規株式公開)」を確保することがきわめて重要な課題となっている。

 両国は、蜜月関係を誇示した。

『Financial Times』(FT)は、「アラムコ」IPOの上場先競争(in contention)にロンドンは残っているというサウジのカリド・アル・ファリハ・エネルギー産業鉱物資源相の発言を、グッド・ニュースの1つと報じている(「Business chiefs flock to build bridges with Saudi price」March 10, 2018)が、最終的にIPO先として選ばれるかどうかは予断を許さない。

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