これで経済政策はさらに保護主義色が強くなるか(右がコーンNEC委員長)

 

【ワシントン発】トランプ政権が経済・通商政策において激震に見舞われた。政権発足から13カ月以上ホワイトハウスで経済政策の司令塔の役割を担ってきた国家経済会議(NEC)のゲーリー・コーン委員長が、3月6日午後に遂に辞意を表明した。

 辞意表明の引き金となったのは、1962年通商拡大法第232条(国防条項)に基づく輸入鉄鋼、アルミニウムに対する関税引き上げ措置を巡る「グローバリスト」であるコーン氏と、保護主義的アプローチを重視する「経済ナショナリスト」のウィルバー・ロス商務長官、ピーター・ナバロ通商製造業政策局(OTMP)局長、ロバート・ライトハイザー米国通商代表部(USTR)代表らとの対立であった。ドナルド・トランプ大統領は「経済ナショナリスト」にくみして関税引き上げを行う意向を示し、コーン氏の主張を事実上退けた。そして3月8日午後、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の追加関税をそれぞれ課すと正式に発表した。

経済政策の「設計者」

 コーン氏は、第2期レーガン政権の1986年以来実に31年振りに、法人税率を35%から21%に大幅に引き下げることなどを柱とする大規模税制改正を昨年末に実現させた。さらに規制緩和にも積極的に取り組み、減税措置とともに規制緩和を持続的な米国経済の成長の柱に位置付けてきた。最近では第115議会第2会期(2018年1月3日~2019年1月3日)において、インフラ整備法案の成立を目指して取り組んでいた。

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