3月5日、訪朝した韓国特使の鄭義溶国家安保室長(手前左)と握手する金正恩党委員長(手前右)[韓国大統領府提供](C)時事

 

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、3月5日午後6時から朝鮮労働党本部で韓国側特使一行と約1時間、会談を行った。鄭義溶(チョン・ウィヨン)団長が文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領の親書を伝達し、金党委員長がこれを読んでからの会談となった。

 北朝鮮側から会談に同席したのは、妹の金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長と金英哲(キム・ヨンチョル)党統一戦線部長だ。平昌冬季五輪の開会式と閉会式に出席のため韓国に派遣された2人の同席は、平昌冬季五輪への北朝鮮の参加が、南北首脳会談実現への準備過程であったことを示唆しているようであった。

「宿題」への回答を急いだ金党委員長

 鄭義溶団長がメモを取り出して重要事項について語り出したが、金正恩党委員長は鄭団長が準備したメモをすべて読み終えないうちに、自分から語り始めたという。

 金党委員長は「みなさんの苦労をよく知っている」「みなさんを理解している」と述べ、自身の考えを語り出した。特使団が翌6日に韓国に戻って発表した6項目の合意文は、この際の金党委員長の発言が基本になった。会談での金党委員長の発言内容は、韓国側の予測を超えるものだったため、鄭団長は途中で止めたメモにもとづく発言を続ける必要がなくなった。鄭団長以下、韓国の特使たちは必死になって、金党委員長の発言をメモに取った。

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