3月14日、ベルリンで開かれた第4次メルケル政権の第1回閣僚会議。笑顔の下で、何を思うのか…… (C)AFP=時事

 

 3月14日、ようやく第4次メルケル政権が発足した。昨年9月の総選挙以来、実に6カ月に及ぶ政治空白の末であった。連邦議会におけるアンゲラ・メルケル氏の首相選出に際し、35名の造反者が出た。それがキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)からか、あるいは社会民主党(SPD)からだったのか、議決が秘密投票である以上確定のしようもないが、SPDの中には大連立に反対するグループもいることを考えれば、この35名の造反は不思議ではない。 

 これまでもメルケル政権の発足に造反者はつきものだった。2005年の第1次政権発足に際しては51名が、2013年の第3次政権では42名がそれぞれ造反したし、2009年の第2次政権では造反者は9名と少なかったものの、過半数をわずか11票上回るだけだった。今回、過半数を超えるのは9票のみだ。

「大連立ならぬ小連立」

 「大連立」――すでにそう呼んでいいか分からない。と言うのも、本来、大連立が持つ言葉の響きの裏には、圧倒的多数が政権与党となり、議会を牛耳るのは問題ではないか、との批判的暗喩が込められている。しかし、今回の大連立は、CDU/CSUとSPD双方合わせても、得票率で53.5%しかない。「造反がいくら出ようが、これでは大連立でも何でもない」と、SPDのトーマス・オッパーマン連邦議会副議長は皮肉を込めて言う。連立参加を見送り、野に転じた自由民主党(FDP)の副党首ヴォルフガング・クビッキ氏も、「これでは大連立ならぬ小連立だ」と手厳しい。

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