政策の「後ろ盾」である安倍首相の進退問題が最大のリスク(C)AFP=時事

 

 3月16日、国会は衆参両院の本会議で、日本銀行の黒田東彦総裁の再任と、中曽宏、岩田規久男両副総裁の後任に日銀の雨宮正佳理事と早稲田大学の若田部昌澄教授を充てる人事案を可決、承認した。

 米国が金融政策の正常化を開始し、欧州が金融政策の正常化に向かい始めている状況の中で、金融政策の正常化に向けた出口すら見えない日本。黒田総裁は、今後、非常に難しい舵取りが求められることになる。一体、どのような方針で、どのような政策を進めるのだろうか。実は、その答えの一端が、国会での総裁・副総裁候補者(黒田、雨宮、若田部の3氏)への所信聴取に垣間見えていた。

出口は2019年

 3月2日、衆院議院運営委員会の所信聴取で黒田総裁は、「2019年度ころには(消費者物価上昇率2%を達成しているだろうから、その時点では)出口を検討し、議論していることは間違いない」と述べた。この発言は、これまで「出口戦略は時期尚早」と繰り返してきた黒田総裁が、初めて具体的な時期を述べたものだった。

 この発言に、市場は即座に敏感に反応した。指標金利である10年国債の利回りは0.08%まで上昇し、ドル・円レートは1ドル=105円台の円高となった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。