全人代で盟友・王岐山氏を副主席として復活させ、堅い握手を交わした。右下は李克強首相(C)時事

 

 2012年に1期目の政権を発足させ、この度2期目に入った習近平国家主席(64)は、「普通の指導者から強すぎる指導者」への道を急ぎ走り続けている。

 政権の座に就く前は、胡錦濤前国家主席が、重慶の大物政治家・薄煕来を「汚職摘発」で落としてくれた。そして就任時は胡錦濤氏が中央軍事委員会主席からも引退したことで、習氏にとって胡錦濤氏は恩人の筈だった。

 その胡錦濤氏の懐刀、令計画・中央弁公庁主任(当時)まで「汚職摘発」で無期懲役の刑に処した(2016年)のだから、習氏以外の他の指導者にとって快く思えないのは確かだろう。

政局一挙混乱の危険性

 3月11日、第13期全国人民代表大会(全人代=国会)は北京で全体会議を開き、国家主席の任期撤廃(「終身制」)案と、「習近平思想」を国家の指導原理に追加する憲法改正案を圧倒的多数で可決した。採決は無記名投票で行われ、賛成2958、反対2、棄権3、無効1で、賛成票が99%を上回った。

 この任期撤廃案と憲法改正案は、全人代に先立つこと2週前の2月26日に北京で開催された中国共産党第19期中央委員会第3回総会(3中全会)で浮上した。

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