米国を訪問中のムハンマド皇太子はワシントンDCからニューヨークに移り、主に企業関係の面会が報じられているが、ここでロイターのインタビューに答え、ロシアとの産油国間の長期的な同盟関係への意欲を示した。

"Exclusive: OPEC, Russia consider 10- to 20-year oil alliance - Saudi Crown Prince," Reuters, March 27, 2018.

石油価格の底上げや産出量などについて、OPECの盟主サウジと、OPECに属さないロシアとの協調は大きなテーマだが、毎度交渉して、かつ合意が守られるかどうか不透明な現状を打破して、サウジ・ロシアの産油国同盟を結ぶ、というのは、実現可能性は不明だが、気宇壮大である。

しかし、この発言をなぜ米国滞在中に行うのかが、いっそう不明だ。

ワシントンDCではワシントン・ポスト紙のインタビューに応え、サウジアラビアの王族の支配の拠り所となってきたワッハーブ派の国際宣伝について、冷戦期に同盟国(米国)に言われて東側陣営を制するためにやったこと、と責任転嫁したり、今ではサウジ政府ではなく「財団(foundation)」が資金を出している、と言い訳するなど、君主国の権力者の自由を発揮している。

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