米国を長期訪問中のサウジアラビアのムハンマド皇太子がどこで誰に会うかが注目の的である。ニューヨークに移ってからは財界人や引退した著名政治家を中心に、面会情報が漏れ伝わって来る。3月26日にはソフトバンク会長の孫正義氏と面会したことが報じられている。3月27日はヘンリー・キッシンジャー元国務長官やクリントン元大統領と面会した様子が大きく報じられた。

ニューヨークでの面会先といえば、財界というだけでなく、特にユダヤ人脈が注目される。

注目されるのは、3月27日に、AIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)をはじめとした親イスラエル・ロビー団体との非公開会合を持ったとリークされたことだ。会合に参加したのは、AIPACの他に、 Stand Up for Israel (ADL) やJewish Federations of North America (JFNA)、Conference of Presidents、B'nai B'rith、 American Jewish Committee (AJC)などであるという。これらの団体はイスラエルの主要な敵とされるイランに対する米国の強硬姿勢を支持し、盛んに働きかけを行うとともに、イスラエルのパレスチナ占領・エルサレム併合に反対しイスラエルのボイコットを呼びかけるBDS運動への対抗を使命としている。イランを共通の敵とするサウジは、親イスラエル団体に働きかけることで、正式には国交のないイスラエルと協調して対イラン包囲網を強められるとともに、ユダヤ系人脈を通じて米政権、特にトランプ政権との紐帯を強めたいのだろう。

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