アーメンコーナー。12番のグリーンの右奥に13番のティがある。今年はここで誰の、どんなドラマが見られるか(筆者撮影、以下同)

 

「マスターズ」(4月5日~8日)開幕を目前に控えた今、昨年大会のサンデーアフタヌーンのドラマを思い出していた。

 優勝争いの真っ只中。首位のジャスティン・ローズと2打差だったセルジオ・ガルシアが窮地に陥ったのは、13番だった。ティショットが木に当たり、フェアウェイ左サイドのブッシュの中へ。イーグルやバーディーが狙えるこのパー5で喫した痛恨のミス。多くの人々がガルシアの敗北を予感した。

 だが、ガルシアは驚くほど冷静だった。

「僕が目指すべきは、最善を尽くして13番を『5』で上がること。それができなければ、ジャスティンに『おめでとう』と祝福の握手をするだけのこと。あのとき僕はそう思っていた」

 そして、その言葉通り、ガルシアは13番をパーで上がった。だからこそ、その後に続く14番でバーディーを、15番でイーグルを奪い、プレーオフへ、マスターズ初制覇へと進んでいくことができた。

 ガルシアに勝利をもたらしたのは、13番のパーだった。あのパーなくして彼がグリーンジャケットを羽織ることはなかった。昨年大会の究極のドラマが繰り広げられたのは、誰もがみな祈るしかないと言われるほどの難所、アーメンコーナーの13番だった。

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