3月4日、SPDの党員投票で連立合意が承認された際は笑顔で答えていたナーレスSPD次期党首。その真価が問われるのはこれからだ (C)EPA=時事 

 

 ドイツの社会民主党(SPD)次期党首に予定されているアンドレア・ナーレス氏の苦悩については、2018年3月20日の拙稿「『EU改革』『党再生』船出した第4次メルケル政権の懸念」で触れた。「連立」と「党再生」という、時に相反する要求を2つながら満たしていかなければならない微妙な立場を説明した。連立は維持しなければならないが、さりとてそれに埋もれてしまってはならない。あくまでSPDの独自色が際立つようにもっていかなければならない。

 「ナーレス氏の苦悩は、およそ解決不能な難題(Quadratur des Kreises)を突き付けられたようなものだ。両立しない2つの解を同時に見つけ出さなければならない」

 ドイツ政界では、こういった見方がほぼ定着している。

 実際、3月21日、アンゲラ・メルケル首相も、「苦しいのはナーレス氏だけではない。キリスト教社会同盟(CSU)のアンドレアス・ショイアー交通・デジタルインフラ相だって板挟みだ。自動車業界の要求と排ガス規制という、おおよそ両立しない2つを同時に追求しなければならない」と発言している。

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