孔鉉佑外交部副部長はジャパンスクール出身ながら、中印関係にも広げている (C)時事

 

 中国の孔鉉佑外交部副部長(外務次官)が4月6日に訪印し、インドのビジャイ・ゴーカレー外務次官と会談した。これに先立ち2月にはゴーカレーが訪中。中国外交トップ2である楊潔篪政治局委員、王毅外交部長(外相)と会談している。ゴーカレーの存在自体が日本メディアでは全くといっていいほど報じられていないが、彼を巡る動きを見ていると、表面的には中印関係の緊密さが感じられ、昨夏、両国軍がドクラム高地(中国名・洞朗)で約2カ月対峙して一触即発となった国境紛争が、まるで嘘のようだ。

ジャパンスクールから檜舞台へ

 ゴーカレーは、駐マレーシア高等弁務官(High Commissionerはイギリス連邦の国家同士の大使相当職、2010~2013年)、駐ドイツ大使(2013~2016年)を経て、直近まで駐中国大使(2016~2017年)を務めていた。中国側にはゴーカレーに対して、中国通の外交官としての期待感がある。

 一方の孔は、上海外国語学院(現在の上海外国語大学)で日本語を専攻。1985~1989年の大阪総領事館を振り出しに、2005~2011年の駐日大使館公使参事官(のちに公使)まで計3回の日本勤務を経験している。東京を離れてからは、駐ベトナム大使(2011~2014年)、外交部アジア司長(司は日本の局に相当、2014~2015年)、部長助理(2015~2017年)を経て現職の副部長に就任。スコープを日中関係からアジア政策全般に広げ、現在では中国の6者会合首席代表を武大偉元駐日大使から引き継ぎ、北朝鮮情勢にも関与している。北朝鮮から程近い黒龍江省出身の朝鮮族だという点は、中朝関係の文脈で注目に値する。

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