『PIW』はエネルギー業界関係者の間で常に注目される情報を発信する業界紙だ(同紙の情報を伝える業界関連サイトより)

 

 サウジアラビア(以下、サウジ)のムハンマド・ビン・サルマーン皇太子筋は、更なる油価上昇、できれば80~100ドルを望んでいる、というニュースが流れている一方、何をどう考えたのか、ドナルド・トランプ米大統領は4月21日早朝、OPEC(石油輸出国機構)が人為的に価格を釣り上げている、と暗にサウジを非難するツイートを投稿した。昨今の油価上昇には、中東における軍事衝突の可能性を含む政治不安がもたらす地政学リスクが織り込まれており、その地政学リスクの多くを生み出しているのは当のトランプ大統領なのだが、ガソリン価格が急上昇することは中間選挙に不利だ、と判断してツイートしたのだろうか。

 市場では、強気の材料として、(1)ベネズエラの減産基調に回復の目処が立たないこと(2)トランプ大統領がイラン核合意を破棄するとイラン原油の供給が減少するリスクがあるとの見方があること(3)パイプラインなどのインフラ不足からシェールオイルの更なる増産に限界があるとの見方が広がっていること(4)価格上昇にもかかわらず需要減退の気配が見えないこと(5)過去3年の資本支出(Capital Expenditure)不足により近い将来の供給不足の懸念があること(6)2月末の段階でOECD(経済協力開発機構)諸国の保有商業在庫量は過去5年平均対比3000万バレル(『IEA=国際エネルギー機関=月報』4月号)、あるいは4300万バレル(『OPEC月報』4月号)多いだけの水準にまで減少しており(2年前には4億バレル多かった)、OPECが目標としている「過去5年平均水準」にほぼ近づいているものの協調減産は当分継続されそうなこと、などが囁かれている。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。