岩瀬昇のエネルギー通信 (32)

「サウジアラムコ」内部評価でも企業価値「2兆ドル」には及ばず

執筆者:岩瀬昇 2018年4月23日
エリア: 中東
『PIW』はエネルギー業界関係者の間で常に注目される情報を発信する業界紙だ(同紙の情報を伝える業界関連サイトより)

 

 サウジアラビア(以下、サウジ)のムハンマド・ビン・サルマーン皇太子筋は、更なる油価上昇、できれば80~100ドルを望んでいる、というニュースが流れている一方、何をどう考えたのか、ドナルド・トランプ米大統領は4月21日早朝、OPEC(石油輸出国機構)が人為的に価格を釣り上げている、と暗にサウジを非難するツイートを投稿した。昨今の油価上昇には、中東における軍事衝突の可能性を含む政治不安がもたらす地政学リスクが織り込まれており、その地政学リスクの多くを生み出しているのは当のトランプ大統領なのだが、ガソリン価格が急上昇することは中間選挙に不利だ、と判断してツイートしたのだろうか。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top