七月七日から三日間、二十二カ国の首脳を集めて開かれた北海道洞爺湖サミットは、地球温暖化問題が最大のテーマとなった。特に、米国や中国、インドなど温室効果ガスを大量に排出しながら対策に後ろ向きの国々を、どうやって拘束力ある排出削減の枠組みに巻き込むかが課題だった。しかし、サミットでまとめられたのは「温室効果ガス排出量を二〇五〇年までに半減させる長期目標を世界全体の目標とし、採択を求める」という意味不明の合意文だけ。ホスト役の福田康夫首相は、サミット開幕前から「二〇五〇年までに半減」という長期目標の取りまとめに強い意欲を示し、国内での排出量を大幅削減するため、環境税の導入にまで言及していたが、そうした意気込みは完全な空回りに終わった。 日本が世界から求められているのは、サミットでリーダーシップを発揮することではなく、京都議定書で義務付けられた温室効果ガスの「六%削減」を実現することのはず。ところが、日本の排出量は基準年の一九九〇年に比べ、二〇〇六年は温室効果ガス全体で六・二%増、増加分の約九割を占めるエネルギー起源のCO2はそれ自体で一二%も増えている。京都議定書の期限である二〇一二年までに、省エネだけで増加分も合わせて一二%以上のCO2削減を進めることは、どう考えても難しい。ことさら長期目標にこだわる福田首相の言動には、達成困難な短期目標から世界の耳目を逸らしたいという思いが見え隠れする。

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