南北「板門店宣言」を読み解く(上)「米朝首脳会談」への地ならしという「意味」
2018年5月1日

金正恩党委員長(左)と文在寅大統領が署名し手交した「板門店宣言」を仔細に読んでみると……(C)AFP=時事
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)は4月27日、板門店の韓国側にある「平和の家」で南北首脳会談を開き、「朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言」を発表した。北朝鮮の最高指導者が38度線上の境界を跨ぎ、韓国の地を踏むのは初めて。しかも、分断の象徴の場でもある板門店での南北首脳会談も過去2回ともなく、初めてだった。
この会談の後には、6月初めまでに米朝首脳会談が予定されており、朝鮮半島を取り巻く情勢に構造的な変化を生み出し始めた。
南北首脳会談と、その合意文である「板門店宣言」を読み解いてみたい。
ちなみに、筆者は通常、金正恩氏を「朝鮮労働党委員長」の呼称で記述するが、今回は、北朝鮮および韓国が正式発表した際に「国務委員長」の呼称を使用している場合はそれに準拠することをお断りしておく。
核心は「非核化」ではなく「平和」
今回の南北首脳会談に対する国際社会の関心は、「北朝鮮がどこまで非核化を約束するか」であったが、結果的に南北が確認したのは「平和」であり、「非核化」の内実は米朝首脳会談へ持ち越された。
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