ルーズベルトがニューディール政策を実施する

執筆者:野口悠紀雄2018年5月3日
(C)AFP=時事

 

 1932年の大統領選挙で、民主党のフランクリン・D・ルーズベルトが当選。

 この頃、アメリカ経済の状況は、どん底に達していた。1300万人から1400万人が失業しており、900万人が蓄えを失っていた。

 ルーズベルトは、1933年3月4日に大統領に就任。就任演説でつぎのように国民に訴えた。

「恐れる必要があるのは、恐怖そのものだけだ」。

 ルーズベルトの経済政策は、「ニューディール」と呼ばれる。New Dealとは、「新規まき直し」という意味だ。

 この政策は、政府の介入や経済政策は限定的にとどめるべきだとする古典的・自由放任主義からの脱却だと言われる。そして、これに影響されて各国の政府が市場経済に積極的に関与する政策へと転換し、第2次世界大戦後の経済政策に大きな影響を与えたとされる。

 ルーズベルトは、就任から100日足らずの間に、15の重要な法律を成立させ、多くの政府機関を設立した。TVA(テネシー川流域開発公社)などによる公共事業を実施し、何万人もの人が仕事に復帰した。

 ニューディールの第1期では、救済と復興に政策の中心がおかれた。金融面では、金融資本主義の要である銀行システムを強化しようとした。

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