マイク・ポンペオ国務長官

執筆者:足立正彦2018年5月9日
 

35.マイク・ポンペオ国務長官(54)

 ドナルド・トランプ大統領との関係悪化が指摘され、数カ月前から辞任が憶測され続けていたレックス・ティラーソン国務長官(当時)が2018年3月13日に更迭され、同日、中央情報局(CIA)長官から後任の国務長官に指名された。そして指名承認に関する上院本会議での採決が4月26日に行われ、賛成多数で承認された(賛成は57票だったのに対し、反対が42票にも達した。欠席が1票)。

 1977年1月に発足したカーター政権以降の歴代国務長官は、上院本会議での指名承認採決で85票以上の賛成票を獲得している。しかし、トランプ政権で最初に国務長官に就任したティラーソン氏は賛成票を56票しか得られず、ポンペオ氏も57票となり、トランプ政権の2人の国務長官とも、近年米国史の中でも極めて賛成票が少ない点で共通している。こうした激しい党派対立の中で、第70代国務長官が誕生した。

 国務長官に就任するや、国務省の長官室に入る間もなく、4月26日から30日までの5日間の日程でベルギー、サウジアラビア、イスラエル、ヨルダンの欧州・中東4カ国に初外遊を行った。現在、トランプ外交は、対イラン政策、北朝鮮問題、シリア情勢、米ロ関係の悪化といった重要外交課題に直面している。イランと国連安保理常任理事国5カ国(米英仏中ロ)と独のP5+1が締結した「包括的共同作業計画(JCPOA)」のイラン側の遵守状況について、トランプ大統領が対イラン経済制裁措置発動の適用除外を更新するか否かの判断を5月8日に下し、JCPOAからの離脱と対イラン経済制裁の再発動を決定した。ポンペオ氏は下院議員当時からイラン核合意に強く反対しており、対イラン政策についてもジョン・ボルトン大統領補佐官とともにトランプ大統領に対して大きな影響力を持っていることが理解できる。

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