米トランプ大統領が、5月8日にイラン核合意からの離脱を表明した。トランプ大統領は、2015年にウィーンで結ばれたイラン核合意(JCPOA)に基づいて解除されていた米国の対イラン経済制裁を再び課すと述べ、イランとの経済関係を続ける第三国も制裁の対象となりうると警告した。

これに対してイランのロウハーニー大統領は、トランプ大統領の演説の直後に声明を発し、イランの権利としてウラン濃縮を大規模に進める選択肢も示しつつ、米抜きでも核合意を継続する意思を示した。これはトランプ演説以前からの姿勢でもある。5月13日にもロウハーニー大統領は米抜きでの核合意の継続の意思を改めて表明した。ザリーフ外相は13日から中国、ロシア、西欧の核合意の当事国を歴訪し、合意の継続を目指して協議した。

西欧諸国も合意の継続の意思を再三表明しているが、米国の制裁が西欧企業に課されるのを防ぐ手立ては見出しえていない。

民間企業では、仏トタルのように早速イラン事業の撤退の意向を示すところも出てきている。米国事業への悪影響のリスクを避けるために、民間企業は西欧諸国(あるいは日本)の政府の出方を待たず、米トランプ政権に恭順の意を示すところも増えるだろう。

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