トランプ大統領の就任に際しての触れ込みの1つが、中東和平(すなわちこの場合はイスラエル・パレスチナ和平)について「世紀のディール」すなわちこれまでにない画期的な和平案を提案する、とのことだった。しかしこの「世紀のディール」がなかなか出て来ない。何度も「近く発表」と報じられながら延期されている。

今回も延期されるかもしれないが、6月半ばから後半にトランプ政権の和平提案がなされるのではないかという観測が、5月19日に複数のメディアで報じられている。すでに内容はほぼ固まっているが、5月17日に始まったイスラーム教のラマダーン月が明けた後に発表される見通しとされる。

トランプ政権で中東和平問題を担当しているのは、国務省ではなく、トランプ大統領の娘婿のクシュナー氏と、国際交渉担当の特別代表のジェイソン・グリーンブラット氏である。イスラエル大使に任命されたデービッド・フリードマン氏も含め、トランプのビジネスに深く関与してきたユダヤ系人脈を総動員して事に当たっているようである。これをイスラエルのネタニヤフ首相も全面的に歓迎し、米・イスラエル間で首脳の個人的なコネクション・ネットワークによる中東和平工作が考案されている模様だ。

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