2014年6月、ベトナム北部チュンホアで開かれた、日本へ渡るベトナム人看護師・介護福祉士候補生の壮行会  (C)時事

 

 今年6月、介護現場で初となる外国人実習生が来日する。中国出身の2人で、宮崎県の介護事業会社が受け入れる。昨年、外国人技能実習制度の職種に「介護」が追加され、受け入れが可能となった。

 外国人介護士の受け入れは、2008年に始まった経済連携協定(EPA)の枠組みでも続いている。受け入れ対象国は当初のインドネシアにフィリピンとベトナムが加わり、毎年数百人の介護士が来日している。そこに今後は実習生が加わるわけだ。

 介護現場の人手不足は深刻化する一方だ。厚生労働省によれば、2025年には全国で約38万人の介護職が不足するという。昨年来日したEPA介護士の数は過去最高となったが、それでも3カ国の合計で752人に過ぎない。介護施設を運営する企業や社会福祉法人など事業者には、もっと多くの外国人労働者を求める声が強い。そこで政府は、介護実習生の受け入れに踏み切った。

 筆者はEPAが始まる以前から、この連載などで繰り返し外国人介護士問題を取り上げてきた。「介護」は人手不足を象徴する職種である。そこでいかに外国人労働者を受け入れていくかという問題は、同様に日本人の働き手が不足する他の職種の将来、さらには移民の受け入れ問題にも影響する。事実、EPA介護士たちは、「介護福祉士」の国家試験に合格すれば日本に永住し、移民となる道が開かれている。

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