EU存続のカギを握るハンガリーのオルバン首相 (C)AFP=時事

 

 欧州連合(EU)における中東欧の位置づけが、混迷の度を加えている。かつての共産圏内部で、ブリュッセルにあるEU本部の「上から目線」に対する反発が強まっているからだ。その反発は、ポスト共産主義に向けた改革(post-communist reforms)の途上にある旧共産圏の“改革はEUの中核的国々の正規路線と時に異なったものとなってもやむを得ないではないか”という政治的主張と捉えることができる。

 2004年にEU加盟を実現したポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキアの4カ国は、その当初の段階からこうした問題意識を抱えていた。このため、相互に意思疎通を図りながらEUに対抗しようとの申し合わせが成立した。ちなみに、この協議は1991年にハンガリーの首都ブダペストから少し離れたヴィシェグラードで行われたことから、この4カ国は「ヴィシェグラード4」と呼ばれることになる。

「自由民主主義の時代は終わった」

 現在、その「ヴィシェグラード4」の実質上の指導者とされているのが、2010年に首相として再登板したハンガリーのビクトル・オルバン首相だ。発言の明瞭さと強引な手法がヴィシェグラード4の内部で浸透力をもったからである。

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