5月7日、クレムリンでの就任式に出席するプーチン大統領。同時に6年後の後継者競争もスタートした (C)AFP=時事

 

 3月のロシア大統領選で圧勝したウラジーミル・プーチン大統領は5月7日に就任式を行い、4期目がスタートした。ドミトリー・メドベージェフ首相以下、閣僚の大幅な入れ替えはなく、目玉人事もなかった。セルゲイ・ラブロフ外相やセルゲイ・ショイグ国防相も留任し、外交・安保政策の継続を印象付けた。政権の安定を優先し、人事刷新を先送りした形だ。しかしプーチン後の時代は確実に到来する。ここでは、現時点での後継者レースを展望した。

「習近平方式」を否定

 就任式後の5月10日、ロシア南部チェチェン共和国の議会が、大統領の連続3選規定を撤廃する憲法改正を連邦議会に求める緊急決議を全会一致で承認するという奇妙な動きがあった。しかし、ドミトリー・ペスコフ大統領報道官は「プーチン大統領にはそのような計画はない」と否定。大統領も「自分の利害のためにそのような行動を行うことは一切考えていない」と強調した。

 プーチン大統領は今回の選挙前後、任期延長の考えを何度も否定している。3月1日の米『NBCテレビ』とのインタビューで、「私は自分の都合で憲法を変えたことはないし、今後もない」と強調。3月18日の当選直後の会見で、記者団から「2024年に1回休んで2030年に返り咲く可能性はあるか」と聞かれ、「おかしな質問だ。私が100歳まで大統領を続けるとでも言うのか」と一蹴し、高齢になっても大統領を続けるつもりは「ない」と断言した。改憲で任期制を撤廃した習近平中国国家主席の手法を否定したものだ。

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